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STORY

プロジェクトストーリー

不動産投資

プロジェクトストーリー

日本が誇る観光名所、京都・清水五条のホテルへの不動産投資。
筆頭投資家として攻めの姿勢でコロナの逆境からV字回復へ導く

2018年、当社と密接な連携関係にあるアセットマネジメント会社から、出資を予定していた投資家が出資直前に撤退した案件のレスキュー要請があり、急遽出資を決めた京都の人気ホテル「ホテルアベストグランデ京都清水」の不動産投資プロジェクト。2020年から広がった新型コロナウイルスのパンデミックをはじめ社会情勢の逆境を乗り越えながら、V字回復するまでの軌跡をご紹介します。

再開発が必要な築49年の老朽化マンション
京都の中心地、最寄り駅から徒歩1分、150室を有すホテル

京都の中心地、最寄り駅から徒歩1分、150室を有するホテル

千年の歴史と伝統を受け継ぐ京都・清水五条。清水寺や八坂神社など有名な寺社仏閣のほか、春には新緑の力強い瑞々しさを、秋には紅葉の刹那的な美しさを見せ、誰もが認める日本観光名所のひとつです。そんな京都の名所にもほど近い「清水五条」駅から徒歩1分の好立地にあり、150の客室数を誇る「ホテルアベストグランデ京都清水」の不動産投資プロジェクトを担当しました。数社との共同出資で運営していますが、当社はその中でも出資額・出資割合が最大を占める筆頭投資家であり、ホテルオーナーに近い立場です。運営は別会社が担当していますが、全体の資産管理やホテル運営会社の管理はホテル業界に精通したアセットマネジメント会社が取りまとめています。プロジェクトにおける当社の役割は、リーダーシップを取りながら運営に関する企画や資産運営方針などにおける最終的な意思決定を他の出資者とともに下すことです。

パンデミックでプロジェクトが白紙に

パンデミックでプロジェクトが白紙に

出資を開始したのは2018年。当時はまだ建物の建設中でした。しかし、インバウンドを中心に日本の観光業の盛り上がりがピークを迎えていたこともあり、当初スタートは「ヘルプ案件」であったものの、“負けない投資”だと判断し、強気の姿勢で筆頭投資家として名乗り出たのです。翌年、2019年には無事にホテルもオープンし、順調に利益を上げていく見込みでしたが、社会情勢の影響をダイレクトに受けることになりました。まずは、オープン直後から韓国との外交問題が発生し、予定よりもインバウンドの客足が遠のいたことです。そして、2019年12月から2020年にかけて発生した新型コロナウイルスのパンデミックの発生が最も大きな問題となりました。観光業全体がダメージを受けるなか、当ホテルも例外ではありませんでした。4月の緊急事態宣言により、ホテルを閉めることを余儀なくされ、ホテル運営会社との契約もやむなく解消となり、残ったのは利益回収の目処が立たないホテルだけになりました。

コロナを切り抜けるために必要とされた現場対応

コロナを切り抜けるために必要とされた現場対応

「今できることは何か」、今後の方針についてアセットマネジメント会社と協議を重ねましが、とにかく喫緊の課題はクローズ状態となっていた建物の管理でした。使用されていない状態の建物が急速に傷んでいくのは自明の理。とは言え、管理会社に任せると余分なコストがかかってしまいます。そこで苦肉の策として採用したのが、賃料を収受することよりも管理に主眼をおいた新しいオペレーターの探索でした。コロナ渦中は稼働率も低く、固定賃料をベースにした契約形態でオペレーターを募集するのは難しかったため、一時的に完全な歩合賃料制を採用しました。実態上、これは無償で建物を貸しているようなものでしたが、ホテル運営会社により建物が適切に管理されるメリットがあるため、何とか現状を耐え抜くために必要な対策でした。

最大のピンチ「ローンの期限到来」

管理上の問題は脱したものの、次にやってきたのは最大のピンチ「ローンの期限到来」でした。
この不動産投資プロジェクトは、当初から投資家からの出資の他に金融機関からの借り入れを活用していましたが、このような状況では満足のできる金額でのホテル売却による返済もままならず、デフォルト(債務不履行)の危機が迫っていました。アセットマネジメント会社ではリファイナンス(借り換え)を実現するため、数多くの金融機関と折衝を重ねたものの、コロナ禍においてインバウンドをターゲットにしたホテルへの融資となると各機関の姿勢には厳しいものがありました。
そこで、当社が当社自身の取引金融機関と個別に交渉し、当社が所有する別の不動産を担保提供することによりリファイナンスが実現することとなり、この最大のピンチを脱することができたのです。

2024年4月には過去最大売上へとV字回復

2024年4月には過去最大売上へとV字回復

コロナが緩やかに衰退し、客足が少しずつ増えていくものの、現状維持では目標の投資回収金額には到底届きません。ここでも攻めの姿勢を忘れず、ホテルのソフト面を刷新することにし、メインターゲットに据えていたインバウンド需要に加えて、国内利用者のニーズも満たす方針へと舵を取りました。例えば、宿泊価格と稼働率に関するバランスの見直しや、ホテルワーカー向けに新たなデスクの配置、ゆったりと食事を取れるスペースの確保などです。これらの企画が功を奏し、コロナ渦中でも売上を拡大しながら、2023年からは無事にインバウンドの客足も戻る好景気となり、さらに、今年2024年4月には過去最高の客室平均単価・並びに売上高を叩き出すまでにV字回復を遂げています。

筆頭投資家を担える潤沢な資本と迅速な意思決定

筆頭投資家を担える潤沢な資本と迅速な意思決定

社会情勢という外部環境の変化を待つだけでは、プロジェクト成功への道が途絶えていたかもしれません。ホテル運営会社とアセットマネジメント会社と協力しながら、先手を打てたおかげで今があると思います。とはいえ、最終的な意思決定を下すのは私たちで、他の共同出資者をはじめ各ステークホルダーの未来を担うため、一つひとつがスケールの大きい決断でした。これだけ大規模な不動産投資プロジェクトで、筆頭投資家の立場を担いながら、攻めの姿勢を貫けたのも当社の資本力があってこそだと思っています。さらに、上層部との距離が近く、スピーディーに意思決定できる体制のおかげで、社会情勢の逆境にもリアルタイムで対策を打つことができました。これほどメジャーな立地で、スケールも大きい不動産投資を経験できる機会は多くなく、今回はホテルを起点としたプロジェクトでしたが、当社の不動産事業では、多彩な業界とシナジーを見出しながら出資する面白さがあります。今後は、更なる利益創出とオーバーツーリズムの課題解決の両立を目指しながら、街づくりにも貢献していきたいです。