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プロジェクトストーリー

売買

プロジェクトストーリー

吉祥寺の築古マンションを開発用地へ。
前例のない新法を活用した革新的なプロデュース

当時、新たに設立された「マンション敷地売却制度」を活用し、約6年かけて権利調整を行いながら、老朽化リスクのある区分所有マンションを開発用地へ仕立てたプロデュース事例です。東京近郊エリアでは初の事例であり、全国でも未確立だった革新的なロールモデルを築き上げた手腕をご紹介します。

再開発が必要な築49年の老朽化マンション

再開発が必要な築49年の老朽化マンション

対象物件は、吉祥寺駅徒歩1分の好立地にあった区分所有マンション「バローレ吉祥寺I」です。450坪もの敷地面積を有する魅力的な物件であると同時に、国土交通省指定の緊急輸送道路に面する旧耐震建物であり、現状のままでは倒壊による危険性を無視できない状態でした。これら老朽化リスクの背景のほか、吉祥寺を含む武蔵野市としては、街づくり方針のなかで、駅前の活性化を図るために商業系の建物を誘致したい意向がありました。各ディベロッパーも街づくりの文脈に従った再開発を計画すれば、容積率の割増が認められることでより大きな建物へ建て替えることができ、収益率の向上が見込めるため、再開発事業に前向きな姿勢を見せていました。そこで、各部屋を区分所有者から買い受け、権利関係を調整したのちに、開発用地へと仕立てるプロジェクトをスタートさせました。

マンション敷地売却制度の活用で建替えの意向を醸成

マンション敷地売却制度の活用で建替えの意向を醸成

10階建の本物件は、元々当社も出資する業務提携先のアセットマネジメント会社が、土地と1階から6階までを保有していました。そのため、7階から10階にある46部屋が購入の対象でした。しかし、いきなり区分所有者へ購入を提案しても通る確度は低いでしょう。そこでまずは、オーナーが出席する管理組合の理事会に参加して、老朽化リスクによりいずれ再建築や大規模修繕の判断に迫られる旨を説明しました。そのためには多大な資金が必要となるため、いま建替えに向けてマンションを売却するコストメリットを丁寧に提案しました。さらに、意向醸成に向けて、区分所有者の利益を最大化するために、当時設立されたばかりのマンション建替円滑化法に基づく「マンション敷地売却制度」を活用する方針を示します。当時、同エリアでこの新法は活用されたことがなく、全国的に見ても成功事例は業界最大手が手がけた2件のみでした。そもそも、制度活用への道のりは遠く、建物の老朽化リスクが行政に認可される必要があったり、売却先の確保が難しかったり、数多くの要件を満たす必要があります。さらに、その行政当局ですらマンション建替円滑化法に基づく敷地売却制度の活用方法を見出せていない状況でした。

新たなロールモデルを構築しながら売却先を確保

新たなロールモデルを構築しながら売却先を確保

ひとまずは、老朽化リスクに加えて、街づくりに向けた機運が後押しして、行政から制度活用に対する協力を得ました。そして次は、行政と区分所有者から理解を得られる信用性の高い売却先の選定に加えて、売却価格を確定させる必要がありました。大手ディベロッパーを中心に提案するも、開発用地としての魅力やその価格には納得を示すものの、実現性の観点から信頼を得ることが難題でした。しかし、並行して各部屋の買い受けや売却への意向醸成を進めていたおかげで、事業実現への道筋が見えてきた結果、売却先として与信の得られる事業会社を選定できました。また、売却先・売却金額が決定したおかげで、逆に区分所有者にもより具体的な配当金を説明できるようになり、プロジェクトは一気に加速することになりました。

多角的な観点で不動産を評価できる総合プロデュース会社

着実に6年かけて区分所有者から全部屋の買い上げに成功

敷地売却制度では、区分所有者の頭数と議決権の5分の4以上を占める多数が賛成すれば、マンションと敷地を売却する決議が取れます。そのため、上記の行政連携や売却先の選定と並行して、より確実にプロジェクトを進行するべく、議決権の割増に向けて各部屋の購入も進めていました。理事会への参加のほか、対象住戸である区分所有者へ個別で挨拶や交渉を重ねる日々。50%強を占める46部屋中24部屋の区分所有者は第三者へ賃貸していたため、コストメリットの観点からスムーズに売却へ合意してくださりました。ただ、区分所有者兼居住者の場合は、個々の特別な事情や感情もあり説得に随分と時間がかかりました。最初は半信半疑だった方々も、根気強い対話により信頼関係を築いたおかげで、素直に話を聞いてくださるようになりました。無事に5分の4の議決権を占有したのち、その後も継続して買い上げを続けることで、計6年もの月日をかけて全部屋の区分所有権を取得することができました。

権利調整から資金調達まで一挙に担えるプロデュース手腕

権利調整から資金調達まで一挙に担えるプロデュース手腕

その後、本物件は、予定通り事業会社への売却を経て、この2024年にオフィスビルへと生まれ変わりました。オーナーである事業会社は充分な収益を見込めて、地元行政は居住用マンションよりも外部から人の流入が期待できるようになり、元々の居住者も充分な収益と新たな暮らしを手に入れることになりました。まさに、全ステークホルダーにとってwin-winのベストな答えを見出したプロデュースプランだったといえるでしょう。実現には、前例のない新制度を活用する柔軟な姿勢、これまでの経験に基づく権利調整能力、それらの実現に向けた資金調達力の3点が必要不可欠でした。今回のように革新的な手法で開発用地を仕立てるほか、当社では将来的に開発用地になる築古物件や権利調整後に開発用地になる物件も豊富に取り揃えています。開発用地をお探しの場合は、あらゆる形でお力添えできますのでご相談くださいませ。